採用・育成・経常利益改善 K'sパートナー株式会社

利益貢献を見える化する

投稿日:

福岡県のある企業で社員研修を行った際のお話です。

社員研修の大きな目的に、利益向上があります。
費用や社員の労働時間を投じるわけですから、当然の事です。
今回は社員研修に取り掛かる初日という事で、所属部署・管理担当部署が
会社に利益貢献を果たす意義・意味と合わせて研修をすすめました。

利益貢献の定義は様々あると思いますが、
この研修では難しく捉えずに、
【売上―売上原価―人件費=利益貢献】としました。

実資料を渡してしまうと、
一目で利益貢献しているかどうかが分かってしまうので、
まずは利益貢献意識調査として
「今期は利益貢献が出来ていると思う方、手を挙げて下さい」
と問い掛け、数名の方が手を挙げたので、
利益貢献が出来ている理由について伺い、
実際に利益貢献しているかどうか、簡単なヒアリングから
それが正しいかどうかを皆さんと検証する時間を設けました。

 

<A氏の場合>

「売上が前年よりも2%程度伸びましたので、利益貢献していると思います」
そこで、粗利率(売上高-売上原価=粗利、粗利/売上高(%))は
どうか尋ねると約1%下がっているとの回答がありました。
これを実際に、皆さんと計算するわけです。
“前年の売上高を100とし、粗利率30%とした場合の粗利高は30になります”
“今期の売上高は102で、粗利率は29%とすると粗利高は約29.6になります”
前期の粗利高は30、今期の粗利高は29.6ですから、
0.4粗利高は減少している可能性があります。
そこで、実際の資料と照らし合わせてみると、やはり粗利高は下がっていました。

<B氏の場合>

「売上は2%程下がりましたが、粗利率を2%上げる事が出来たので、
利益貢献しているはずです!」
これを計算してみると
“前期の数字はA氏と同じ粗利高30とします”
“今期の売上高は98で、粗利率は32%とすると粗利高は約31.4になります”
前期の粗利高30に対して、今期の粗利高は31.4ですから、
1.4粗利高は増加している可能性があり、実際の資料で確認すると、
やはり粗利高は上がっており、利益貢献を果たしていました。

<C氏の場合>

「売上は2%程上がり、粗利率は前年と同じ数字ですから、
利益貢献しています!」
これは計算せずとも、間違いなく利益貢献しているように思えます。
その他の社員の方々も、納得されていました。
そこで、このような質問を投げかけてみました。
「部署の人員が増えたり、残業が増えたりはしていませんか?」
そう聞くと、この部署では約0.5人分の残業が発生している事が分かりました。
詳細は省きますが、前期の人件費は15で、
今期の人件費は16程度になっている事がヒアリングで分かり、
これを計算すると
“売上高100×粗利率30%-人件費15=15”
“売上高102×粗利率30%-人件費16=30.6-16=14.6”
前期の貢献利益が15、今期の貢献利益が14.6ですから
0.4利益は減少している計算になります。
こちらも、実際の資料で確認をするとやはり利益は減少していました。

ちなみに、こちらの会社では普段は売上高と粗利率が主に会議等で
確認される管理項目でした。特に売上高の重要度が高く、
俗に言う売上至上主義の管理が行われていました。
そのため、会議ではA氏とC氏は評価が高く、
B氏の評価は低かったのです。
しかしながら、利益貢献を数値化してみると、
最も評価されるべきはB氏という結果だったのです。
もちろん、だからと言って売上高を下げて良いというわけではありません。
売上高を上げる努力はし続けるべきと考えていますが、
売上高=利益という考え方は間違いだという事に社員研修を通じて、
社員の方々も気付きを得ました。

・当社にとっての利益貢献とは何か?
・部署管理上はどのような数値で利益貢献を算出するべきか?

利益貢献管理の見直しと見える化を是非おすすめします。

投稿者:K'sパートナー株式会社